「できれば母乳で育てたい」という思いをもつ女性は多くいます。ところが、実際にはそれが叶っていないことがたくさんあるようです。女性たちは、「自分は出なかった・・・」と言う思いを持たれています。母乳分泌を増やすためには、少し知識が必要です。
母乳育児を軌道に乗せるために
母乳量を増やすポイント
- 出産後、できるだけ早く母乳を吸わせる、搾乳をする
- 母児同室で、時間と回数を制限しない授乳をする
- 赤ちゃんが欲しがサインに合わせた授乳をする
- おっぱいが「空」になる感覚こそ、分泌量を増やす
- 効果的に赤ちゃんが飲めるような適切な抱き方や含ませ方
- 継続的な助産師など専門家のサポートで自信を持つこと
出産後、母乳を産生するプロラクチンと作られた母乳を外に出すオキシトシンの2つのホルモンの分泌することが大切です。
赤ちゃん主導で、欲しがるタイミングで欲しがるだけ授乳をする自律授乳を行うと、一般的に24時間に8〜15回程度授乳することが多いです。
赤ちゃんは、満足すると全身お力が抜けて、リラックスしてきます。十分に母乳を飲みとると、乳房から離れることも多いですが、弱く吸い続けることもあります。
おっぱいの中が空っぽの状態の方が、母乳の分泌量は増えます。溜まっている母乳を飲んでもらうと、飲んでもらった感もあるし、赤ちゃんも満たされたように見えますが、長い視点で見ると、母乳が溜まった状態は、作りすぎなのね、とお母さんの体は判断してしまうので、母乳量は減っていってしまいます。
赤ちゃんが効果的に飲めるような適切な抱き方や含ませ方、混合栄養でミルクを減らしていく方法など、ぜひあなたに伴走するマイ助産師、かかりつけの助産師がいると母乳育児に対しての、自信を持てると思います。
母乳だけでなく、育児の相談も合わせてできるため、ぜひマイ助産師を見つけてくださいね。
赤ちゃんが母乳を飲みたいサイン(空腹のサイン)
母乳を欲しがっている早めのサインに応じて、授乳するのもポイントです。泣いたら授乳とも言われますが、実は泣くというのは、遅めのサインです。大泣きになってしまうと、吸着するのが難しいこともあります。早めのサインに合わせることで、母も子も落ち着いて授乳できますね。
いつまであげる?卒乳・断乳
最適な栄養法はとは、生後6ヶ月間は完全に母乳だけで育て、その後適切な補完食を与えながら2歳かそれ以上まで母乳育児を続けること
WHO /UNICEF〜「乳幼児の栄養に関するイノチェンティ宣言」より
日本では、1歳が近づくと卒乳を意識し始める方が多いですね。
母乳育児のメリットは、子どもへの栄養面・免疫だけでなく、感染症の予防や認知機能スコア、肥満予防といった長期的に効果があることが言われています。母親にとっても、乳がんや卵巣がん、子宮体癌などのリスクを減らし、骨粗鬆症や糖尿病や高血圧の予防効果もわかっています。社会的にも、災害時や医療費削減や、仕事復帰後の欠勤を減らすなどのメリットもあります。
仕事復帰や次の妊娠の計画があったり、それぞれのご事情もあるでしょう。卒乳(断乳)の選択も、母乳を続けたい選択も、あなたの「こうしたい!」お気持ちを大切にしてくださいね。生活に合わせて続ける方法も一緒に考えます。
卒乳(断乳)のタイミングは、一人一人違います。その時の迎え方も、十人十色です。母と子のいいタイミングで、母乳育児の乳じまいはいかがでしょうか?